クライテリア

批評誌『クライテリア』によるブログです。

2017コンテンツ100②

あけでとう*1。升本です。

2017年のコンテンツを100個振り返る3時間ツイキャスについてのブログ記事・第2段。今回は升本選の33個を紹介します。

以下、升本選の33に関する注意点(小文字は読み飛ばしてOK)。

・ランキング形式ではありません。AもBも面白かったんだからいいじゃん、というスタンスです。

・単純に私が2017年に面白く感じたコンテンツを挙げています。世間で人気が出そうかどうかを予想したものではありませんし、誰でも楽しめるコンテンツなのかどうかも考慮していません。

・遠野よあけ選33のあとに、重ならないように書きました。ニーアオートマタ、ドラクエ11、青春のアフター、ハンチョウなど、遠野選になかったら入れていたと思います。

・「2016年のコンテンツ100」という2万5千字くらいの文章を『ペネトラ9』という同人誌で書いており、そこで挙げたコンテンツで2017年も引き続き面白かったものは多々ありましたが、それは入れていません。

・敬称略です。

・思いついた順に書いています。放送後にあれも入れたら良かった、というの続出しました。特にスポーツ系は全く失念しており、RIZIN参戦後の堀口恭司の試合全てとか、新日の内藤哲也とか、ボクシングの村田諒太とか楽しく観戦しました。横浜優勝も良かった(横浜市出身で少年野球やってました)。あと2017年は卓球も面白かった。

前置きが長くなりました。次の行から本題です。

2017年のコンテンツ33(升本選)

01 M-1グランプリ2017(お笑い)

M-1毎年面白いですけど、今年は特に面白かった印象。

ネタの内容だけでなく、笑神籤によりネタ順がわからない緊張感もよかった。

あと、時間を置かず始まった、放送終了後のGYAO!の優勝者以外の振り返り生配信も○。感極まるジャルジャル福徳や、スパマラ武智とゆにばーす川瀬名人のやり取りなども、M-1見た後そのまま寝れない気分を冷ますのによかったので、来年もやってほしい。出演者は大変だろうけど。

02 スーパーマリオオデッセイ(ゲーム)

追加された帽子のアクション、帽子による乗り移りが楽しい。

エストクリア的な意味合いの「ムーン」がざくざく取れるので気持ちいいし、スキマ時間にしかゲームできない現代にも対応。

丁寧に作られた「ちょうどいい」ゲーム。クッパとのストーリーの終盤の盛り上がりもよかった。

03 劇画狼のエクストリームマンガ学園(WEBサイト)

Twitterアカウントも含め、面白いマンガをたくさん教えてもらえる。

高遠るい『はぐれアイドル地獄変』の32名最強トーナメント、単行本化が楽しみです(6巻)。

04 松村翔子「こしらえる」(演劇)

元々はチェルフィッチュの俳優だった方の演劇。

不倫と猫と行方不明の人の話。舞台はレストラン。怖みのある面白さ。

違う系統の演劇の樹形図の先端いくつかと、たまたま今好きなパーツを組み合わせたというか、

違うパズルのピースを無理やりはめたらハマってしまったし、何か見たことない絵も完成しましたみたいな

要素が多い笑いと戸惑い体験でした。

05 五反田団「あの人&あの人」(演劇)

登場人物ほぼ全員アホなロミジュリ。

手癖で作っている部分もあると思いますが、笑いの量は多く、仕事がしんどい時期に見たので、笑うことで心が楽になった。

06 ゲッコーパレード「リンドバークたちの飛行」(演劇)

原作はブレヒト。太平洋を初めて飛行機で横断したリンドバークの話。

本拠地「旧加藤家住宅」で2016年に行われた演劇を、有形文化財である「島薗家住宅」に場所を移して再演。観客は部屋を移りながら、演劇、ピアノ演奏、現代美術などと共に、リンドバークの飛行を体験していく。

07 キュイ「前世でも来世でも君は僕のことが嫌」(演劇)

出演者8名が次々死ぬが死体そのまま。

→私:「生きてるものはいないのか」かな?

音楽がなって別場面。一人は記憶保持。また人が死に始める。

→私:ジョジョ5部のディアボロのG・E・レクイエムかな?

死ぬたびに戻る4種の場面からの脱出をはかる。

→私:リゼロかオール・ユー・ニード・イズ・キルかな?

などと先行作品が次々浮かぶが、「その先」を描こうとしていた。

08 ムーンライト(映画)

映像が美しかったです。

09 エリザのために(映画)

コネ・賄賂が蔓延るルーマニアで、英国留学を控える娘に起きた不運(レイプ未遂)に「誠実な人柄」と称される医者の父親(娘の事件のとき不倫してた)が打つ手と、その顛末を追う5日間。

感情の機微の描写力!

夜、何者かを探すシーン好き。

厄介な日常タスクを複数並行処理しつつ(描写ないけど)通常業務をこなすのはすごい。

10 ペス山ポピー「実録泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました」(漫画)

マゾヒストの人のエッセイマンガ読んだことないから読もう、という入りから、7話で転換あり。コミックスまだだけど、今ならネットで連載全話読めます。

11 スター・ウォーズⅧ/最後のジェダイ(映画)

大作の続編なのに、何でもありな感じで途中から「そう来ちゃうかー」と面白くなってくる。

敵味方両陣営、人材不足感ある。

12 酒井順子『an・anの嘘』(本)

アンノン族からSEX特集まで。創刊号から現在までの『an・an』が描く女性像を振り返る。

13 小林銅蟲『めしにしましょう』(漫画)

アシスタントがマンガ家に料理つくるマンガ。メシにかける情熱と行程が過剰。あと美味そう。

作者は「ザ・ノンフィクション」に出演。

『累』の松浦だるま氏のもとで、現在もチーフアシスタントしながら飯を作っているとかいないとか。

14 南勝久ザ・ファブル』(漫画)

凄腕殺し屋が一年休暇を与えられ、現代日本の大阪で「ふつう」になってみようとする話。

ヤンマガで毎週、前の方に載ってる多分人気がある漫画という認識しかなかったけど相当面白く、読みやすく、するする読んでしまう。

15 赤坂アカ『かぐや様は告らせたい』(漫画)

テンプレ的な金持ち高校の優等生による恋愛の(アホな)駆け引き。

2017年に、青年誌でエロに頼らずラブコメで売れているのはすごい。

16 山﨑健太『紙背』(同人誌)

「戯曲と批評」。旬な戯曲家の戯曲4~6本と、それぞれの戯曲のしっかりした文量の批評がセットで、1000円くらいで読めるのは貴重。

17 40010試作型『プロトタイプマドモアゼル』(漫画)

2017年は成人向け単行本を新旧合わせて100冊以上購読したが、1冊思い出そうとしたら、これが浮かんだ。理由は放送で喋りました。

18 松本人志「ドキュメンタル」(お笑い)

Amazonプライム専用映像作品の認知度を高めた作品。

参加費100万円。10名の参加者が6時間、部屋に閉じ込められ、笑ったら退場。優勝者が1000万円総取り。というシンプルなルールで、新しい「笑いを生み出す装置」を見せてもらった。

シーズン4に至るまでの間に、どんどん下ネタが加速。

19 板垣巴留BEASTARS』(漫画)

週刊少年チャンピオン連載なので板垣恵介の娘という噂(真偽不明)もあるけど、それ関係なく少年誌で扱うには攻めた内容で面白い。

ズートピア』的な半人半獣を日本の高校風に描きつつ、肉食が草食食べたり、ヒロインのウサギが性に奔放だったり。

リアリティラインが揺れてるとこ含め魅力。

20 原作:天原 作画:masha『異種族レビュアーズ』(漫画)

異種族の風俗嬢を、人間、エルフ、天使、その他がクロスレビュー。直接的なシーンはほぼなし。

SEX自体を描かず、エロい話をすることで面白くする鈴木健也おしえて!ギャル子ちゃん』、紙魚丸『惰性67%』、tugeneko『上野さんは不器用』などの系統の異世界版。

21 大森望 編『SFの描き方』(本)

SF創作講座の講義録。

SFに限らず、小説に限らず、創作を志す方に面白い書籍だと思います。

ネットに挙がった感想で言及されることの多い、冲方丁さん回、新井素子さん回の構成担当は私(升本)です!

22 西尾維新大辞典(展示)

2016年の「講談社・小説ベストセラーTOP10」の10作中7作が西尾維新だったけれども、2017年も似たようなものだろう。

あらためて仕事量が異常だし、実際に売れているのがすごい。

日本の小説家として、単著の累計売上部数歴代1位狙えるのではないか。

『混物語』を読みたいので、書籍化してほしい。

23 2017年の『週刊少年ジャンプ』(漫画)

約束のネバーランド」、「鬼滅の刃」、「Dr.STONE」が人気2~4位になるなど、顔触れが変わった。男児の夢1位に「学者・博士」が来たの、「Dr.STONE」の影響あると思う。

HUNTER×HUNTER」も一時期連載。

「ヒロアカ」、「ブラクロ」は下描きのまま掲載の回が何度かあって大変そう。

ここに来て「ハイキュー!!」が超面白い。

八木教広の読切「月光のアルカディア」の連載版は、サンデーではなくジャンプでやってほしかったなー……。コミックス買います。

24 小西明日翔『来世は他人がいい』(漫画)

ヤクザの家で育った高校生同士の恋愛。

東京での大阪弁解禁あたりの描写は震えた。

発売時期によっては、年末のマンガランキングに入っていたと思う。

25 けものフレンズ(アニメ)

楽しかった。癒された。歌もよかった。

26 ニューダンガンロンパV3(ゲーム)

『ペネトラ10』に長めに書いたのでそちらで。公式設定資料集もよかったす。

27 位置原光Z『正しいスカートの使い方』(漫画)

平和な会話劇マンガの中では、着地の見えなさ(次のコマでどんな台詞が来るか分からなさ)で一歩抜けていると思う。

会話劇マンガとしては、保谷伸『マヤさんの夜ふかし』、稲井カオル『うたかたダイアログ』(は違うかな)、ユペチカ『サトコとナダ』、小雨大豆『学び生きるは夫婦のつとめ』が今年は印象に残った。

28 岡本倫『パラレルパラダイス』(漫画)

1・2話読めば、どんな話かわかると思います。『クライテリア2』にレビューを書きました。

君は淫らな僕の女王』2巻発売おめでとうございます。

異世界に転生する系、2017年は喰わず嫌いせずに色々読んでみた結果、『蜘蛛ですが、何か?』と『転生したらスライムだった件』は続刊も追う予定。

29 岡田麿里、絵本奈央『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(漫画)

文芸部の女子5名を中心とした「性」への葛藤。直接的なエロ描写ほぼなし。文化系女子の内輪キャッキャと、王道の恋愛展開。絵もかわいい。

岡田麿里さんが『キューティーミューティー』の帯書いてることもあり、『荒ぶる季節の乙女どもよ。』読んでて、女の子たちがひどい目に遭いそうな気がしてしまう。

『荒ぶる~』の新名と、qtμtの四葉ちゃん、どことなく造形が似てるし。

30 鴨鍋かもつ『魔王の秘書』(漫画)

現代のビジネス知識をドラクエ的世界観の魔王側に適用すると世界征服すぐだよね、的なギャグ。誘う踊りとアイドルの組み合わせいいすね。ファミ通の攻略本、パワプロ等のゲーム小ネタ好き。

ファンタジー世界の日常ネタだと、シネクドキ『エルフさんは痩せられない。』、奈良一平『29歳独身中堅冒険者の日常』も面白く読みました。

31 椎名うみ青野くんに触りたいから死にたい』(漫画)

恋愛のドキドキとホラーのドキドキって心臓が早鐘を打つ意味では同じだよね、的な。

もうちょっとマンガのランキング系で取り沙汰されると思ったけど……。

短編集『崖際のワルツ』も○。

32 『山田孝之のカンヌ映画祭』(ドラマ)

フェイクドキュメンタリー、ということでいいのだろうか。山田孝之がカンヌを取ろうとする顛末。

1話の「実在の大男の殺人鬼の映画を取ります」→主演(殺人鬼役):芦田愛菜。を始め、金策のため一般人に絡む姿や、長澤まさみの説得も面白かった。

映画『山田孝之3D』まで観て完結。

33 ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(ゲーム)

これまでに出たゲームの中で、いちばんおもしろいゲーム。

 

放送中に野村くんに詰られたけど、エロ率高い。反省。

2018年も素晴らしいコンテンツにたくさん出会いたいです。

*1:「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。ちんちん。」の略。『世紀末リーダー伝たけし!』より