クライテリア

批評誌『クライテリア』によるブログです。

2017クライテリア編集部が選ぶコンテンツ100①

あけましておめでとうございます、クライテリア編集部です。

2016年に引き続き、2017年も『クライテリア』の新刊を出すことができました。2018年は雑誌を出すのみならず、ブログとtwitterの更新を増やし、イベントなども積極的に行えればと思っています。

 

ところでクライテリア編集部は12月30日に、2017年の面白かったコンテンツを振り返る「2017クライテリア編集部が選ぶコンテンツ100」という放送を行いました。本誌編集委員である遠野よあけ、升本、野村崇明の3人が2017年の面白かったコンテンツを33個ずつ持ち寄り、その全てについて語り合うという狂気の企画です。録画はこちらから(ツイキャスの仕様で放送が30分毎に切れているのですが、30分×6本で計3時間の放送になっています)。

この記事には、野村崇明が選んだ33個のコンテンツのリストと、そのうちいくつかについての大雑把なコメントとを掲載します。各コンテンツの選定理由や細かなコメントは録画をご覧ください。

01 ヘイドン・ホワイト『メタヒストリー』翻訳(本)

⇨ホワイトの主著二冊と論集一冊とが翻訳されたことに顕著なように、2017年は修辞学系?の本が多く出た1年。この本自体はいささか古いものだが、その現代的ポテンシャルの活かし方は『クライテリア2』掲載の「ハロウィンの夜は終わらない」という論考を。

02 『ユリイカ2017年10月臨時増刊号 総特集=蓮實重彦』(本)

03 変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート(イベント)

04 土居伸彰『21世紀のアニメーションがわかる本』(本)

⇨「フラットオントロジー」や「パースペクティズム」という言葉がバズっている時代に、土居伸彰のコンテンツ批評は重要。

05 山本貴光『文学問題(F+f)+』(本)

06 ユルチャク『最後のソ連世代』(本)

07 桑野隆『20世紀ロシア思想史』(本)

08 『ゲンロン6』ロシア現代思想特集(本)

09 『ゆめみるけんり vol.2』(本)

⇨06〜09はロシア現代思想関連。ロシア革命100周年だからか、とにかく20世紀ロシア関連本が多く出た。その中でも『ゆめみるけんり vol.2』は、個人出版にもかかわらずフョードロフの翻訳を載せていたりとなかなか狂気感がある。

10 清水高志『実在への殺到』(本)

11 佐々木敦『新しい小説のために』(本)

⇨土居伸彰『21世紀のアニメーションがわかる本』とともに、21世紀の批評の新境地は『実在への殺到』と『新しい小説のために』から出てくるのだろうな、と思う。

12 『発達障害の時代とラカン精神分析』(本)

13 『表象11 ポスト精神分析的時代の表象』(本)

14 上尾真道『ラカン 真理のパトス』(本)

15 片岡一竹『疾風怒濤精神分析入門』(本)

⇨現代ラカン派がいかに旧態依然としたラカン理解をアップデートしたのかを、2017年に出た上記4冊を読むとよく理解できる。

16 佐藤亜紀『スウィングしなけりゃ意味がない』(本)

17 高村峰生『触れることのモダニティ』(本)

18 東浩紀『ゲンロン0』(本)

19 the cold tommy『BABY OVER THE WORLD』(音楽)

20 福山芳樹『LONDON MAGIC』(音楽)

21 アヌシー国際アニメーション映画祭(イベント)

⇨世界最大のアニメーション映画祭。2017年は湯浅政明が長編部門グランプリ、片渕須直が長編部門審査員賞をとるなど、日本人が大活躍。なお学生部門審査員賞の冠木佐和子は03「変態アニメーションナイト ザ・ツアー セレブレート」にも登場。

22 荒木比奈ボイス獲得(アニメ)

23 UUUM上場(映像)

24 アキラ100%「絶対に見せない de show」@R-1グランプリ2017(お笑い)

25 NON STYLEノンスタイル復帰漫才」(お笑い)

26 ジェラードン「満員電車」@有田ジェネレーション2017/5/3(お笑い)

27 村上克尚『動物の声、他者の声』(本)

28 ナボコフ『アーダ』新訳(本)

29 水曜日のダウンタウン クロちゃん嘘ツイート監視企画(お笑い)

30 ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』(映画)

31 アレハンドロ・ホドロフスキーエンドレス・ポエトリー』(映画)

32 アキ・カウリスマキ希望のかなた』(映画)

33 小森はるか『息の跡』